隊員の日々の活動記録

2026.06.11

移住コーディネーター

高鍋おしごと探検隊 ・松村日都美                

自分らしい生き方と仕事のみつけかた

「どんな場所で、どんな人たちと働き、どんな自分でいたいですか?」

畑の入り口に近づくと、みずみずしい緑の香りが鼻腔をくすぐりました。そこには、ミントやローズマリー、ラベンダーといったハーブが、太陽の光を浴びて力強く育っていました。

「これ、摘んで持って帰ったらいいよ!!」

取材に伺った農家さんは、そう言って笑顔でハーブをひと掴み持たせてくれました。辺りいっぱいに広がる、新鮮で力強い香り。その香りを愛おしそうにそうに眺める私を見て、農家さんがふとこう言ったのです。

「しあわせだろ?」

その一言が、妙に深く心に響きました。今、私のデスクには、その時いただいたラベンダーが飾ってあります。

窓から風が吹き込むたび、ふわっと優しい香りが広がり、あの時の「しあわせだろ?」という言葉がどこからか聞こえてくるような気がするのです。

「どう生きたいか」を知っている人の説得力

その農家さんは、かつて東京の第一線で長年働き、高鍋へUターンし未経験でズッキーニ栽培を始めました。年齢や周囲の目に縛られず、自分の人生を自らの手で選択し、ありのまま楽しんでいる姿。自分自身を偽らず、自分の「心地よさ」を知っている人が発する言葉だからこそ、あの「しあわせだろ?」の一言には、理屈抜きの説得力がありました。

では、私たちはどうでしょうか。

就職活動や転職活動を始める時、つい「条件がよいか」「他人にどう見られるか」ばかりを気にして、本当に大切なことを見失ってしまうことがあります。

キャリアを探すうえで、まず向き合うべきは「自分はどういう人生を過ごしたいのか」という問いです。

・どんな場所で、どんな人たちと、どんなことをしてすごしたいか。

・働く時間のなかで、自分自身がどんな状態でいたいのか。

自分の強みや、心が満たされる瞬間(=自分のフィールド)を正しく知ること。それが、ウソのない自分らしい人生を歩み出すための第一歩になります。

地域のリアルな課題と、新しい「仕事のつなぎかた」

一方で、地方の産業に目を向けると厳しい現実も見えてきます。

今回の取材でも痛感したのは、「素晴らしい技術や、まだ十分に使える立派な設備・器・仕組みがあるのに、後継者がいないために廃業せざるを得ないお店や農家が少なくない」という地方の共通課題です。一から設備を建てるには莫大な資金がかかる現代において、これは本当にもったいないことです。

「地方で自分で何かを始めたい」「雇われる働き方から脱却したい」と考えている求職者にとって、ゼロからスタートするのは資金面でも技術面でも非常に高いハードルがあります。

そこで、一つの選択肢として「後継者を探している人のもとへ飛び込み、まずは修業させてもらうという道もあるかもしれません。

もし継ぐとなれば、現実的に金銭面や契約のルールなど当事者間でクリアすべき課題はたくさんあります。生半可な気持ちでは務まらない、泥臭い世界でもあります。

しかし、「本気で技術を学びたい、この場所で働きたい、やってみたい」という求職者の熱意と「これまで築いてきたものを誰かに託したい」という経営者の想いが、もし心の奥底で通じ合うことができたならば、そこには、現実を超えた「相思相愛」のマッチングが生まれる可能性を秘めています。

「あなたのフィールド」はどこにある?

条件や職種という枠組みだけで仕事を探すと、選択肢は狭まってしまいます。しかし、「どう生きたいか」という自分軸を持ち、地域課題やマッチングに目を向けてみると、まだ見ぬ新しいフィールドが見つかるかもしれません。

デスクのラベンダーが香るたび、私は思います。次に「しあわせだろ?」と笑い合える場所は、あなたにとってどこにあるでしょうか?

自分にウソをつかない生き方を選択するために、まずは、「どんな自分でいたいか」をゆっくり言葉にすることから始めてみませんか?

あなたが「ここで働けてしあわせだ」と心から言える、最高のフィールドに出会うためのヒントになれば幸いです。

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