隊員の日々の活動記録
2026.04.30
有機推進隊
■ ミッションの総合的な達成度と現在地
こんにちは。
有機推進隊の加藤です。
私は、高鍋町の農業政策課では初めて採用された地域おこし協力隊として着任し、これまで自ら考え、提案し、前例のない取り組みについても課内で協議・調整を重ねながら、一つひとつ形にしてきました。
前回のブログと一部重複する内容もございますが、
2年目を迎えた今、これまでの活動を改めて振り返るとともに、自らのミッションの達成度と今後の方向性について整理したいと思います。
■ 総合的な達成度と現在地
これまでの取り組みを整理すると、現在の到達状況は以下の通りです。
・生産:実装段階に到達
・販路:構築しているが、引き続き更なる構築を進める
・ネットワーク:基盤構築済ではあるが、更なるネットワークの拡大を図る
・技術:実用レベルに到達、更なる技術向上に努める
・加工:立ち上げ段階
全体として、ミッションの本質部分については「概ね達成できている段階」に入ってきていると認識しています。
一方で、「立ち上げ段階」にある分野については、確実に“成果”として定着させることが今後の課題です。
高鍋町の地域おこし協力隊のホームページより

【有機推進隊のミッション】https://takanabe-kyoryokutai.com/organic-propulsion/
高鍋町が推進する有機農業について、自身で有機農産物の生産、販路開拓にチャレンジしていただき、普及推進に取り組んでいただきます。活動を通して、近隣市町村の有機農業者や行政、教育機関等とも繋がりを作り、技術習得・向上を目指しながら、高鍋町のオーガニックの推進に尽力していただきます。
【具体的な目標】https://takanabe-kyoryokutai.com/team-menber/
町の圃場にて少量多品目での有機栽培の実証及び減農薬野菜の栽培。有機農業普及の活動をしていきます。具体的な目標としては、生産した農作物をマルシェで提供、教育機関への野菜の提供活動。また、販売や卸しだけでなく管理栄養士と連携し、加工品の開発、メニューの提案
■ 具体的な取り組みと実績
① 自身で有機農産物の生産
町の圃場において、少量多品目による有機栽培の実証と実践を継続して行っています。
単なる栽培にとどまらず、「地域資源循環型有機農業」という視点を重視し、土づくりから設計しています。
具体的には、
・精米所から出る米ぬか、もみ殻


・落ち葉
・菌床(椎茸栽培後の廃材)
といった地域内の未利用資源を回収し、堆肥化して圃場へ還元することで、資源循環と土壌改良を同時に実現しています。
また、栽培した野菜は保育園などの教育機関へ給食食材として提供しており、現在は複数園への提供を実施。加えて、こども食堂への提供も行い、「生産」と「地域貢献」を結びつけた活動へと発展しています。
さらに、町の圃場に加えて近隣農家とも連携し、複数圃場での栽培体制を構築しつつあり、安定供給とスケール化への基盤づくりを進めています。
② 販路開拓への挑戦
販路については、現場に足を運び、実践の中で切り拓いてきました。
・新富町での新設オーガニックマルシェの販売支援
・宮崎市内スーパーでのオーガニックマルシェ販売サポート
・宮崎市、高鍋町、木城町でのオーガニックイベント運営サポート
・宮崎オーガニックフェスティバル
・オーガニックライフスタイルEXPO2025の高鍋町ブースの運営サポート
これらの活動を通じて、「売る」という行為だけでなく、
・消費者ニーズの把握
・価格設定の考え方
・販売導線の設計
など、実践的な知見を積み重ね、実際に野菜の販売も行ってきました。
③ ネットワーク構築(農家・行政・教育機関)
本ミッションの中核でもある「つながりの構築」については、着実に広がりを見せています。
農家連携:高鍋町、木城町、新富町、綾町
行政機関連携:宮崎県有機農業連絡協議会、農業改良普及センター、農業大学校、農業総合研修センター 等

※太陽熱処理研修
教育機関:町内わかば保育園・私立にっしん保育園・ももの木保育園・なでしこ森のこども園への食材提供
単なる交流にとどまらず、
・技術相談
・共同検討
・今後の事業連携の可能性
といった、より実務的な関係性へと発展している点が大きな成果だと感じています。
④ 技術習得・向上
有機農業は「理論」と「現場」の両輪が不可欠です。
そのため、行政機関や研究機関での知見に加え、現場の農家から直接学ぶことを重視してきました。
・土壌改良技術
・病害虫対策

※人参間引きの様子
・多品目栽培の管理技術
などを実践の中で検証し、自分の技術として蓄積しています。
⑤ 地域との関わり(景観・交流)
駅前の花壇に野菜苗を提供し、景観美化とともに、地域の方々に野菜や農業への関心を持っていただく取り組みも予定しています。
日常の中で農に触れる機会をつくることも、有機農業の普及の一つの形だと感じています。
⑥加工品開発・メニュー提案
管理栄養士と連携し、加工品開発を進めています。
活動時間外も活用しながら、試作・検証を重ねており、今後は連携している飲食店へのメニュー提案を予定しています。
「生産→加工→提供」まで一貫した価値づくりを行うことで、有機農産物の付加価値向上と持続可能な収益モデルの構築を目指しています。
■ 展望
県内各地で行われている多様な地域活性化の取り組みや、農業・観光・福祉が連携した事例を、自ら現地に足を運び確認することで、机上では得られない実践的な知見の蓄積を進めていきます。
その中で、
・地域ごとに異なる課題構造(人口動態、産業構造、担い手不足等)
・継続的に成果を出している成功事例の本質(人材、仕組み、収益モデル)
を多角的に分析し、表面的な模倣ではなく、本質的な要素を抽出したうえで、自身の活動に落とし込みます。
これにより、「他地域でも実施されている取り組み」ではなく、地域資源・人的ネットワーク・自身の強みを掛け合わせた“自分にしかできないプロジェクト”として具体化していきます。
また、5月には業務外の自主的な取り組みとして、木城町の地域おこし協力隊との料理教室交流会(米粉餃子、農大のイチゴを使用したデザート作り)を企画しており、単なる交流にとどまらず、
・地元食材の活用方法の共有
・加工・商品化の可能性検証
・関係人口の創出
といった観点から、実践的な連携の場として位置付けています。
業務内においては引き続き町内活動に注力し、地域との信頼関係構築と実績の積み上げを行う一方で、業務外では町外・県内各地へ積極的に足を運び、人的ネットワークの拡張と視野の拡大を図ります。
この内と外の両輪によって、将来の事業展開に必要な基盤を着実に構築していきます。
さらに、ミッション外の活動については業務時間外にて実施し、複数地域の住民コミュニティへ積極的に参加しています。
具体的には、食事会やお茶会、地域交流の場において、
・地域コミュニティの高齢化問題と次世代への継承
・空き家を活用した民泊の複数人運営モデル
・複数地域を横断した体験型ツーリズムの構築
・音楽イベント等による関係人口創出
・移住者と地元住民の調和の取れたコミュニティ形成
・自治体の垣根を越えた農家同士の人材共有
など、多岐にわたるテーマについて意見交換を行ってきました。
これらの対話から得られた“現場のリアルな課題とニーズ”は、今後の事業構想において極めて重要な要素であり、単なるアイデアにとどめず、実装可能な形へと昇華させていきます。
加えて、自身が有する総合旅行業務取扱管理者としての知識や、これまでのツアー企画・店舗運営経験を活かし、「農業 × 観光 × 健康 × 教育」を掛け合わせた体験価値の高いプロジェクト開発を進めていきます。
こうした活動を通じて、地域おこし協力隊退任後の事業のあり方を具体的に描きながら、単なる地域活性化にとどまらない、一歩先を見据えた持続可能な地域モデルの構築を目指していきます。
■ 退任を見据えて
私は、「任期を終えること」そのものを目的とはしていません。
あくまでのゴールは、地域おこし協力隊として与えられたミッションを実質的に達成することであると考えています。
そのため、退任のタイミングについても形式的な任期満了にこだわるのではなく、
・取り組んでいる事業が「構築段階」にあるのか
・あるいは「自走可能な立ち上げ段階」に到達しているのか
といった実質的な達成度を基準に、一つの区切りとして判断していきたいと考えています。
ただし、それは終わりではなく、次のフェーズへの移行でもあります。
具体的には、
・構築してきた取り組みを地域にどのように残すか
・他地域へどのように横展開し、波及させていくか
といったことを認識しています。
退任後は、これまでの活動の中で構想してきたプロジェクトを軸に、宮崎県内の市町村の枠を越えた広域的な事業拠点展開を行う予定です。
その中でも、高鍋町での活動を通じて得た知見や実績、農家とのつながりは事業の根幹であり、今後も連携先として関係を継続していきたいと考えております。
また、地域ごとに異なる課題やニーズがある中で、自身の取り組みが必要とされる地域に対して柔軟に関わっていくことも重要であると考えており、県内各地との連携を図りながら活動の幅を広げていく方針です。
特に、地域資源循環型有機農業の分野においては、
・生産(有機農業)
・販売(直売・マルシェ・流通)
・加工(6次産業化)
・教育(食育・体験)
・地域連携(福祉・観光・行政)
を一体的に組み合わせた仕組みを構築し、「地域課題の解決」と「持続可能な収益事業」の両立を実現していきます。
これまでの活動は決して個人の力だけで成し得たものではなく、地域の皆さま、関係機関の皆さまのご理解とご協力があってこそ、現在の取り組みへとつながっています。
一方で、新しい取り組みは当初理解されにくい側面があることも実体験として認識しています。
しかしながら、過去の経験から、本質的に価値のある取り組みは継続することで必ず支持されることも確信しています。
そのため、退任後においては、周囲の意見に耳を傾けつつも、自身の信念に基づき、
「人に喜ばれる価値とは何か」を軸に据えた事業をぶれることなく推進していく覚悟です。
今後も一歩一歩着実に前進しながら、地域に必要とされ続ける仕組みの構築を目指してまいります。